▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


千日前青空ダンス倶楽部『水の底 〜The end of Water〜』

cannon262006-10-26

06年10月
Art Theater dB

先日のダンスボックス100連発で強烈にかっこいいパフォーマンスを見せていた千日前青空ダンス倶楽部。平日でしたが仕事切り上げて観に行ってきました。振付・演出の紅玉(あかだま)はダンスボックスの代表である大谷燠。そして踊り手も普段はダンスボックスのスタッフをしたりしている方々。スタイルとしては、白塗りで舞踏をベースにしていますが、ダンサーがそれぞれ多様なジャンルを吸収していて、いろいろな表情を見せてくれます。平成17年度には 大阪市の「咲くやこの花賞」も受賞しています。

もっとも目を奪われたシーン。終盤、ダンサーはいない舞台。天井のいたる所から、タラーー・・・っとゲル状の液体が、滲み、落ちてくる。タラタラ・・・・。ピタン。ツツッーーー…。ビタン。ピチャン。綺麗し、グロテスクやし、エロいし、幻想的。こいつら(ゲル)がまた、ええ動きをするする!装置がうまいこと作ってあって、ほんとにじわじわっと滲み出てくる。タラーっと糸を引いて落ちてゆく。千切れて空中を落ちていく時には意思があるみたいに固体化しようとする。ビタンッと床に落ちるときに跳び撥ねる。床の上に落ち着くと鏡面のように美しい水面をあらわす。素晴らしい。美術は小石原剛。

ここで終わって欲しいと思ったけど、そのあとに続くシーンが先日の100連発で観たあのシーンだったので納得。手鏡を手に妖しく気怠くも気品高い女たち。鏡の向こうとこちら。世界のあわいを静かに行き来する狂気に息を呑みます。そして最後、舞台奥の幕が落ちると全面が鏡に。一気に鏡の中に放り込まれる私たち。ザッパーンって世界の縦横や遠近や縮尺がシフトする感覚のスリリングさは舞台ならでは。あの鏡面は水面か?個人的には完全にゴポゴポと沈められてゆく感覚。その時、こちらを静かに見つめる女たちの美しさは、まったく筆舌に尽くしがたい。

▼その他
・ゲル。やはり“いい動き”を伴う美術は面白い。
・題字いいなぁ。書家の紫舟という人。(公式HP
・最後のシーンの音楽いいなぁ。誰の曲でしょう?