▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


チェルフィッチュ『クーラー』

We Love Dance Festival ユーモアinダンス東西バトル
04年8月
アートコンプレックス1928

オフィスで男性社員と女性社員がクーラーの温度を巡って言い争いをする(特に争いにはなってないが)のを、「リアルな現代語(若者語)」として流通する言葉使いを用いて、2人でジャムセッションみたいに応酬しあう。特に進展もなく、数パターンのお決まりのフレーズが意味もなく反復され、とともにしゃべる際の仕草がデフォルメチックに繰り返される。そうすると、言葉は音楽的に、仕草はダンス的に迫ってくるといった具合。

個人的には、リアル(とされる)な言葉使いを用いている所よりも、その執拗な反復/繰り返しの方に人間(コミュニケーション)に対する確かな視線を感じた(←なんかそれっぽい事言ってみた)。笑いという点でいえば、その繰り返しが、いわゆる「天丼」的な技法につながる。でも、確信犯的にやった(であろう)天丼で結構すべってた。

ちなみに、漫才という芸能は今でこそ、しゃべくりが主流で、たまに音曲する人がいて、となっていて、おどりを取り入れる人はあんまりいない。そもそも、漫才の祖先の万歳(それとこれは別の芸能だといわれたらそれまでですが)の時はおどりは結構重要な要素だった。伊予万歳なんかは、まんま舞踊です。そういえば「なんでだろ〜」とか言って踊ってた人いたね、たしか。最近ではレギュラー(吉本興業)の『あるある探検隊』というネタの踊りっぷりは必見です。

追記(8/26)>補足。これは演劇?ダンス?みたいな事がよく語られてるけど、この作品を観たかぎり、僕の思うところとしては、「漫才」が一番フィットする。日常の仕草をデフォルメチックに反復するダンス的な動きも、漫才師が動きで笑いをとろうとして発想するのと同種のものだと思った。もちろん全体のスタイルとしては新しいと思う。だからと言って、漫才の土俵では戦いにならないから(笑える笑えないという話より、一番ネックなのは尺の問題。例えばM-1だったら持ち時間わずか4分!)、演劇なりダンスなりとして枠を与えるのは納得する。ついでに書くと、この感想は「ユーモア」と銘打たれたこのイベントの枠組みに、多分に偏りすぎてる。あの2人の登場人物には、すごく現代的な得もいわれぬ怖さがなくもなかった。