▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


「鈴虫とダンスの即興セッションナイト」(ボヴェ太郎・上村なおか)

アイホール・伊丹郷町館 presents 鳴く虫に捧げる一夜のダンス
08年09月
伊丹市立伊丹郷町館 旧岡田家住宅 酒蔵

重要文化財の酒蔵にて鈴虫の鳴き声とともにダンス。伊丹市文化振興財団と伊丹市昆虫館の主催による「鳴く虫と郷町」というイベントの関連企画です。一般的には、伊丹というと空港の町のイメージかもしれませんが、JR伊丹駅と阪急伊丹駅に挟まれたこの一帯の文化密度はなかなかすごい。歴史遺産や文化施設が密集、さらにヨーロッパのような街角の広場があったりする。今回のようなジャンルクロスオーバーな催しは、そのポテンシャルをひらいてゆく良い企画だと思います。しかし鳴く虫という切り口はおもしろい。飛行機の騒音問題でずっと苦難している伊丹市だけに。

さて、会場の旧岡田家住宅の酒蔵へ。古い趣ある家屋の中はちょっとした資料館みたいに整備されていて、その奥が酒蔵へと繋がる。建物内にはいたるところに虫かごが置かれていて、虫の音が聴こえている。酒蔵の中は入ってびっくり、けっこう手を入れて小奇麗なライブスペースみたいになっている。天井が高くて気持ちいい。客席が四角く取り囲んで、その真ん中でパフォーマンス。

音響はずっと鈴虫の鳴き声のみ(さすがに録音ものです)。まず、ボヴェ太郎のゆっくり、ゆっくりとしたダンス。いつもに増してスローな動きを紡いでいたと思います。張り詰めた身体を巡る熱量を見ていると、こっちまで熱くなってくる。ただ、少し内的すぎに感じられて、この空間との呼応があまり見られなかったのは残念。

半分ほどしたところで、上村なおかも入ってくる。静かに2人交錯しながら、ボヴェ太郎は蔵を出てゆき上村ソロへ。ちなみに、上村は初目撃。まず、そのしなやかで均整のとれた身体が美しい。がしかし、どこか美しいだけじゃない尋常ならぬ気配も漂う。なんというか、不思議な感覚です。ちょっとまだうまく言い表せないな・・・。ただ、あとからプロフィールを確認してみて「あっ」と思ったのが、この人、舞踏を経由してるんですね。しかも舞踏と言っても暗黒系ではなく天使系(?)です。つまり、笠井叡の天使館でオイリュトミーを修めている。なるほどナットク。また観たいなあ。

(9月13日記)