▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


BABY-Q『Alarm!』

cannon262004-09-27

04年9月
伊丹アイホール

今年のトヨタコレオグラフィーアワードを獲った東野祥子率いる【BABY-Q】。この『Alarm!』はトヨタアワードの際も含め、何回も上演を重ね今回はひとまず完成形という事になる。僕は、『ロリーナ・二クラスによる振付家のための構成力養成講座』でショートバージョンを2回、神戸ファッション美術館オルビスホールで1回、今回は4回目。(前回観た時のはコチラ→id:cannon26:20040907)

とりあえず東野祥子の出るシーンがかなり増量したようだ。当ブログ公認ダンサーランキング1位(id:cannon26:20040811)の東野祥子。やっぱり、すごい。「原子核融合さながらの(って見たことないけど)危険物指定ダンス」と以前は書いたが、少々分かりにくいので、今回はもう少し噛み砕いて説明してみよう。つまり、グラウベ・フェイトーザのブラジリアンハイキックのような動きを体のすべての関節でやってのける。一言で言うと「戦慄」である。

さて、東野の出演シーンが増えた代わりに、前回まで見られたごちゃごちゃと雑多に詰め込まれたシーンはけっこう削られていた。だいぶすっきりした印象で良くなったと思う。といっても、その雑多なシーンこそがBABY-Q印なので、ただ無くせばいいというものでもなくて難しいところだ。今回新しく増えたシーンでは、デグルチーニ、ヤブリンゴーネら関西アンダーグラウンド系?のパフォーマーがでてくるところは、かなり面白かった。

僕は、【BABY-Q】はもっとエンターテイメントな志向も持った方がいいのではないかと思う。例えば、終演後の客の拍手。僕が観てない回はどうか知らないが、びっくりするほど少なかった。出演者が礼をして奥に引っ込もうとする時にはもうまばらで、結局シーンとした中すごすご帰っていくという…。あれは、作品全体への評価というより、最後のシーンが問題だったと思う。あの最後の一連のシーンでは、拍手が少なくなるのは仕方がない。

これはこの作品に限らずよく思う事なのだが、作品がずっといい流れで来ていても、最後拍手のタイミングがわかりづらく「あ、今ので終わり?」という事になったり、またやけに「アート臭」漂う唐突な終わり方をされ萎えさせられるなど、これはとてももったいない事のように思う。もちろん分かりやすく完結させず、余韻を残す終わらせ方もあるだろうが、例えば映画のように効果的にそれが機能している舞台作品というのはあまり無いのではないか。だいたい映画は映画館でも最後に客席が拍手するなんて事はなく、ひとり余韻に浸りやすい環境がある。だから余韻を残すような終わり方が通用する。という事は、一斉の拍手で客席が一体感を感じるというのが醍醐味のひとつであろう舞台芸術で、最後唐突な終わり方をするなりして余韻を残そうというのはかなり難しいだろう。例えば、最初から「終演後の拍手は不要です」とでも言っておけばハードルは下がるか。

「エンターテイメントな志向」というのは何も、楽しい娯楽作を作れという事ではなく、客に対するそのような気遣い(気持ちよく拍手できるようになど)が必要ではないかという事だ。あっ、でも【BABY-Q】に関しては、挟み込まれる雑然としたシーンについてはずばりエンターテイメントショーになってしまっても良いのではないかと思った。ちなみに『REMroom』は全体的にそういう感じの作品だった。圧倒的な東野のダンスとのバランスがどうなるか、難しいところもあるけど。。