▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


維新派『nostalgia』

08年2月
@京都芸術劇場 春秋座

薄暗い劇場に入るとスクリーンに映像。天井に吊られたランタンの灯りが奥へと伸びて、大きく左右に揺れている。ここは日本からブラジルへ移民を運ぶ船の中。その当時、日本からブラジルまでいったいどれだけの時間がかかったのだろう。今よりずっと地球が大きかった時代の、旅の記憶。

「nostalgia」は、身長4mの巨大な主人公の<彼>が登場します。
<彼>は、20世紀という特異な歴史と地理を漂流した旅人です。

それゆえに巨大化した<彼>。巨人をつくりあげた20世紀の歴史と地理とは何なのか、日本からブラジルに移民した一人の日本人の半生を追いながら、それを探ります。
http://www.ishinha.com/nostalgia/SP/introduction/index.html

そういや、もうだいぶ昔のことだが、とあるレーサーが雑誌のインタビューで「地球上で最も大きな闘いは何か?」という質問に「速度」と答えていて“スピード狂がまた深いこと言うなぁ”と感じ入った事がある。20世紀というのはまさしく速度が支配した世紀だった。速度が地球を小さくした。巨大化した彼は小さくなった地球を象徴しているのかも。それは大きな地球への郷愁でもあるように思った。

今回、新しく増えたシーンとして、地図と地名をスクリーンに大写しにして主人公らが旅する南米の土地土地を明確に提示していた。移民先のブラジルを逃れて旅行く主人公たち。砂浜で地図を広げていたところに突如一陣の風が吹き地図が砂に埋まってしまう。そこからスクリーンでは、指で砂を一筋に拭うと現れるさまざまな地名をひたすらに見せ続けた。ちょっと唐突な感もあったが、印象的なシーンだった。

ところで今回は歌舞伎の小屋なので花道があったのだが、それほど存在感のある使われ方はしていなかった。ただ花道にあるせりから大男が出てくるシーンがあり、あんなでかいのがそのまませりあがってこれるぐらい奈落って深いんだという事にびっくり。その他、好きなシーンはいっぱいあるなあ。最後に大きな帽子をすっぽりとかぶってちょこまか走ってる子供とか、たまらなく心和みます。

次は琵琶湖水上舞台! 楽しみです。