▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


Isaac Julien and Russell Maliphant『Cast No Shadow』

Dance Umbrella 2007
07年10月
@Sadler's Wells Theatre

ラッセル・マリファントはシルヴィ・ギエムとのデュエットで来日していたりする人。サドラーズ・ウェルズ(現バーミンガム)・ロイヤル・バレエで研鑽を積み、その後、DV8やマイケル・クラークのもとで踊りてのち、今ではギエムも全幅の信頼を置くまでの、UKを代表する振付家だそうです(カナダ生まれですが)。僕は今回初めて観ます。

今作は映像作家のIsaac Julienとのがっつりタッグでつくられた作品。まあ映像とコラボレーションという時点で僕の期待値はズズズンと下がるのですが・・・。実際観た感想も期待に違わぬ、まあまあこんな感じやよなぁ、というものでした。振付も映像もクオリティ上々なのですが、ウンそれで?ってなってしまう。別々でじっくり観てみたいと思いました。(Isaac Julienが映像作家としてどんな評価の人か知らないけど、すごく良かった!)

特に振付はこの大きな劇場空間をガッと支配するようなものではなく、かなり緊密で細やかなつくりになっており、私が観ていた3階席最後方からはまったく集中して観ることができず・・・。ちょっとググってみたら、来日時の公演評で“まったくもってその通り!”という文章がありました。

たぶんマリファント作品が今回の上演のあり方にミスマッチなのだ。彼の作品がその良さを最大限に発揮する上演の仕方は、ゆうぽうとのような大きなホールで、ファン目当ての上気した観客たちを前にやるのとは方向性が違うのではないか。スターを使わずに、シアタートラムくらいの小屋で、落ち着いた雰囲気でやるのがいい。(中略)ギエムに罪はないが、それでも非常に残念に思えてしまうのは、マリファントの振付は、ダンサーの身体が細部までクリアに見えてこそ、その素晴らしさが十分に味わえるのではないか、と思えてならないからだ。(ine's daypackより)

今作はギエムというスターでないかわりに、大スクリーンの映像が間を持たせる形。2幕目にいたっては、なんとダンスなし、ただの映像上映会という荒業でした。いいのかこれで。ぼくらはダンスが観たいのに。