Noism06『TRIPLE VISION』
06年12月
びわ湖ホール 中ホール
外部から招いた振付家を含めて三者三様の作品をまとめて楽しめるTripleシリーズ(って2回目ですが、、シリーズ化希望)。昨年の『Triple Bill』ではBATIKの黒田育世やコンドルズの近藤良平といった日本で活躍する振付家を迎えましたが、今回は欧州のビッグカンパニーで活躍する日本人振付家によるTripleです。
まずは、金森振付の『black ice』。04年の作を今回さらに磨き上げての再演です。ダンサーによって加えられる床面への圧力が、宙に掲げられたダイヤモンド型のオブジェに浮かび上がるという、高嶺格による美術が印象的な作品。今回はその美術との共鳴という部分で大幅に進歩し、より深みのある作品になっていたと思います。前回はそれこそ、(今思うに)ただその美術トリックのうえで踊らされていたという面も無きにしも非ずでしたが、今回はそのトリックを逆に利用してさらに起伏に富んだ展開が用意されていました。また緞帳や床面などを「おっ」と驚くような使い方で演出してみせるアイデアも秀逸。もちろんダンサーのレベルも言うことなし。ザ・ワールドクラス。
次の『solo,solo』はスウェーデンで活動する大植真太郎の作。セリフも多用して笑いも誘う作品でしたが、かなり独特のセンス。大きくて不恰好な人形をもてあそび、狂喜乱舞するダンサー達。かなり不気味。人形を分解して広げられた一枚の大きな布の中から、また這い出てくる生きた人形。得体の知れないものに対して抱く拒否感がベースになっているのかなと思った。またそれは、この作品を観る観客にとっても同様で、かなり好き嫌いは分かれたと思う。ラストもだるだるの白ブリーフ1枚だけになった“生きた人形”(平原慎太郎)の叫びで終わる。
ラストはバットシェバ舞踊団で活躍する稲尾夫妻による『Siboney』。ジャングルな感じの攻撃的かつセクシーな衣装と、エキゾチックなラテンのリズムを刻む音楽。小難しい作品性を抜きにした、ダンス!ダンス!ダンス!なひと時でした。サービス精神溢れるバットシェバの心意気を見た。このTripleの中にこういうダンスを持ってきた稲尾夫妻に乾杯。
『black ice(ver.06)』
振付:金森穣(日本)
『solo,solo』
振付:大植真太郎(スウェーデン)
『Siboney』
振付:稲尾芳文、クリスティン・ヒョット・稲尾(イスラエル)
関連記事:「Noism」でこのブログを検索!!!