▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


バットシェバ・アンサンブル『MINUS 6』

cannon262004-09-21

2002年8月
びわ湖ホール 中ホール

イスラエルコンテンポラリーダンスカンパニー【バットシェバ舞踊団】の若手組、【バットシェバ・アンサンブル】初来日公演。演目はオハッド・ナハリン(当時芸術監督)振付のさまざまな作品を抜粋、再構成した『MINUS 6(マイナスシックス)〜オハッド・ナハリンの世界〜』。

実はイスラエルコンテンポラリーダンス大国。これを観た当時はそんな事も知らず、民族色がやけに濃いチラシ写真を見て、ほとんど民族舞踊を観るような気持ちで劇場に行った。で、冒頭のシーン。めちゃくちゃスタイリッシュ!民族的な空気とは正反対なのである。

というのも実のところ、イスラエルという国家にはいわゆる民族舞踊なるものが存在しない。第二次大戦後、多国籍多文化が集合して急造された国家だからである。だからこそ、言葉や文化の壁を越えるものとしてのダンスが発展し、今日のコンテンポラリーダンスの隆盛につながる。(乗越たかおコンテンポラリーダンス徹底ガイド』p121)

冒頭、ステージ最前に1列に並び立ったダンサーが端から一人ずつ踊ってゆくのだが、これがことごとくハイレベル。しかも、ただ上手というだけではない。基本的にはシャープでアグレッシブなダンスだが、皆それぞれが自分の動きを持っている。さすが世界レベルのカンパニーだと思った。

また印象的だったのは、やはり『アナフェイズ』(という作品の有名なシーンがある)。これは後日、NHKが【ネザーランドダンスシアター】版を放送したのをビデオ録画し、ことあるごとに見てます。宗教儀礼的でちょっと怖いんですけど、とてもかっこいい。

あと忘れてはならないのは、ユーモアとサービス精神。アートとして屹立しながらも、エンターテイメントな志向がばっちり備わっているという、こんなカンパニー他に無いのではないか。来日したら何が何でも観に行くべき。超オススメ。ちなみに【バットシェバ舞踊団】は現芸術監督が日本人(稲尾芳文)。早く日本に来て〜。