山下残『船乗りたち(陸地バージョン)』
山下残は何の因果かけっこう見逃してて、あまり過去の作品を観れていないのよなあ。今日のを観て、先日の『動物の演劇』もスルーしたことをちょっと後悔。言葉とダンスの関係を探る試みはひと段落したそうで、即興とは?振付とは?という問いに果敢に挑んだ作品を作りはじめているとのこと(参考記事はこちら(演劇計画2006のサイト))。
今作も、即興的な動き(揺れる船の上でふらふら)を中心にして、3名のダンサーが絶妙なセッションを見せながら30分がっちり持たせてしまう。骨組みとなる構成はあると思いますが、その上で繰り広げられる即興のやりとりは限りなく真剣勝負です。すごくスリリング。基本となる動きはゆるゆる、コミカルなだけに、逆にその高度な調和が際立って感じられる。
このような即興と振付の高度な調和を見ると、やはりいつもプロレスを思い出す。ちなみに余談だが、もはや「プロレスなんて八百長じゃん」的な物言いは、WWEやハッスルなどの隆盛により無くなっているとは思うが、今度は逆に「プロレスってすべて決められたことをやってるショーなんだよね」的な単純な理解が広がっているように思われて気になる。そんな単純なものではないぞ。ダンス的にいえば、即興と振付のあわいにこそ、プロレスという表現の醍醐味があるわけです。