▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


カンパニー マリー・シュイナール『オルフェウス&エウリディケ』

2009年2月11日(水・祝)14:00
びわ湖ホール 中ホール


終演後、警察を呼んだ人がいたとかいないとか(らしいですよ、とあるブログでの書き込みによると)。女性ダンサーは上半身ニップレスのみ、ふつうに性行為の模倣もしているし、男性は勃起したペニスのオブジェをつけて出てくる(土方巽みたいなグロいのではなく、起毛のぬいぐるみっぽいファニーなものだった)。

とはいっても、微塵も卑猥なことはなく、むしろその風通しのよさに舞台が輝く。あっけらかんとこうした表現ができてしまうところが、なんといってもマリー・シュイナールの真骨頂。ポストトークでも(一般社会では隠蔽されているような事をなぜ扱う?という質問に対して)「なにも隠蔽されたことだとは思わないわ、だってとっても自然なことだから」(←超うろ覚え)とエキセントリックかつピュアに語っていた。

話は変わりますが(いや繋がってるといえば繋がってるが)、観ていて大駱駝艦を連想した。身体のフォルムを重視するところや、ヘン顔を多用するところや、猥雑(むろん卑猥とは違う)でありながら神話的色彩を帯びてくるところなど。

また、もっとも印象に残った振付に、口の中からなにかを延々引っぱりだすという行為があった。悲鳴のようなえずき声を伴ってなかなかグロい。しかも拷問のごとく執拗に行うシーンもあった。臓器を口から引き抜くようでもあるし、なにか悪い憑き物を落とすようでもある。このように身体の中身にまでアプローチする点も、僕に舞踏などへの連想へと繋げさせた。

話は変わりますが(今度はホントに変わる)、ポストトークで客席から飛んだ野次の痛々しさについて。詳細は省くが「もーいいよーー、マリーさんだってタイクツしてんじゃーん」である。あのときマリーは、武藤大祐氏が口にした(たしかに話は長かったが)プラトンネタに対して、マイクを手にして臨戦態勢に入っていた。それを、どういうファン心理か知らぬが、ああいう行為にはしる。親衛隊か何かですか?

そうして会場が凍てついた後、「では客席の皆さんに、より素晴らしい質問をしてもらいましょう」となって、質問タイムへ。実際に、最初に手をあげた陽気なおじさんも素晴らしかったし、「開いた口が塞がりませんでした」を2回かぶせてマリーを踊らせた質問も素晴らしかったし、最後に短い質問を…と振られてきっちり締めた質問も素晴らしかったので、後味よく終了。しかし、親衛隊は怖いです。

Compagnie Marie Chouinard カンパニー マリー・シュイナール
オルフェウス&エウリディケ”Orpheus & Eurydice
振付・演出 照明 装置デザイン:マリー・シュイナール
出演:カンパニー マリー・シュイナール
音楽:ルイ・デュフォー
2008年2月6日 初演(ローマ)

『牧神の午後への前奏曲』『春の祭典』(06年3月@大阪)