▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


schatzkammer『A4』/『forestbook』

2009年1月24日(土)17:30
@アトリエ劇研(京都・下鴨)

3年ほど前に一度観ているシャッツカマー。演出・構成の森本達郎と、ダンサー夏目美和子によるユニット。今回は森川弘和と松本芽紅見が客演に。いかにも信頼と実績の京都クオリティなラインナップです。

『A4』は森川によるソロ作品。舞台中央、A4のコピー用紙が大量に、落語の高座みたく重ねられ、その紙の山と戯れるひとりの男。やらなきゃいけない事のあまりの多さを前にして、さあどう片付けていくのかと思ったら、気にする風もなく飄々として遊んでる(おおいに共感するなあ)。1枚の紙を床に落とさず操りながら踊ったり。何度も失敗しては、首をかしげてもう1回。成功してニッと頷けば客席も拍手。もとはマイムサーカスの人である森川の本領だ(いぶし銀!)。ラストは山の向こうから紙ヒコーキを空に放って暗転。

『forestbook』は真っ暗闇から除々に、除々に浮かびあがってくる人らしき影。この極めてスローな光の演出がまずもって効果的(まあよくある演出だけど今まででベストだった)。見えているのか見えていないのか、視感覚が宙ぶらりんになって途惑う。見えてきたのは2人の少女と(注・実際は少女ではありません)舞台一面の枯れ落ち葉。童話の世界のよう。シャカシャカと落ち葉を踏み分けながらのふたりのダンスがつづきます。

ふつうダンスカンパニーでは振付家が演出を兼ねることが多いけど(出演まで兼ねてることも多いのでタイヘン)、ここのように演出家が専門できちんと作品を視ることでクオリティが格段に充実する例は見逃せないポイント。2008年の極私的ベストに選んだとりふね舞踏舎なんてのもその好例です。目撃帖は職務分業を推進します。

『A4』
 演出・構成 / 森本達郎
 振付・出演 / 森川弘和
『forestbook』
 演出・構成 / 森本達郎
 振付・出演 / 松本芽紅見、夏目美和子