維新派『呼吸機械』
08年10月05日 19:00
@さいかち浜野外特設劇場〈びわ湖水上舞台〉
野外は4年ぶりだそうだ。これまでも奈良の山奥や瀬戸の孤島など、さまざまな場所を舞台にしてきた維新派。今回はなんと湖中に沈んでゆく舞台になるという。
当日は雨模様。びしょ濡れ必至ですが、しかし雨の維新派というのもまたワクワクします。JRで大阪から1時間半。琵琶湖北東部へ。日が沈む頃合に会場に着くと、すでに屋台村の明かりが煌々と。ライブステージからは爆音。観客も雨などもろともせず集まって熱気に満ちる。
小康状態になりかけた雨は、また開演に合わせるように雨脚を強くする。受付にて200円で購入した雨合羽を着て劇場内へ。奥が吹き抜け、やや傾斜した舞台はそのまま湖に沈んでいる。席につくと、雨合羽がほとんど意味を成さない事に気付く。照明に照らされる雨が綺麗。
開演と共に、その照明が落ちて観客がどよめく。明かりによる空間の境目が無くなり、闇に浮かぶ湖面がさらに眼前へと広がった。すごい。そして40人からの役者達による大群舞。圧倒的。
「<彼>と旅をする20世紀三部作」の二作目である今作は第二次大戦中の東欧が舞台となっている。戦火を逃れる孤児達の成長を軸に、20世紀という時代を顧みる。見ていてふと、なぜこんな東欧の話を今の日本で演るのかと疑念にかられる。だけども、ではこの歴史(今の世界の成り立ち)を自分は果たしてどれだけ知っているのかと言えば、・・・何も知らないに等しい。ん〜そういうことだなぁ・・・などと思いつつ観ていた。
終盤、舞台は湖へと流れ込む河となる。傾斜した舞台を水が流れ、湖へと注ぎ込まれる。盛大な水しぶきを上げて繰り広げられる大群舞。そして一転、静寂した湖面上を、打ち捨てられた巨大な<彼>がゆっくりゆっくりと流されてゆく。一作目の冒頭、ゴミ集積場に埋もれていた<彼>の姿に重なるエンディングだった。次はどこへ流れ着くのだろう。三作目が待ち遠しい。
作・演出=松本雄吉
音楽=内橋和久
出演=岩村吉純、藤木太郎、坊野康之、森 正吏、木戸洋志、西塚拓志、金子仁司、大久保こう、中澤喬弘、野口雄介、森本竜司、石本由美、平野舞、エレコ中西、稲垣 里花、江口 佳子、中麻里子、尾立亜実、境野香穂里、大石美子、大形梨恵、辻本真樹、土江田賀代、まろ、田口裕子、金子紗里、近森絵令、吉本博子、石橋秀美、市川まや、今井美帆、小倉智恵、木下なず奈、桑原杏奈、桑原杏奈、ならいく、松本幸恵、森百合香
舞台美術=柴田隆弘
照明=三浦あさ子
照明協力=吉本有輝子・皿袋誠路・ピーエーシーウエスト
音響=松村和幸(Kazuyuki Matsumura a.k.a ZAK)・田鹿充・move