ふわっと舞う件について
毎年この時季になると意図しないのにレーシングクラッシュのことを考えてるなあ。先日1日がアイルトン・セナの命日だということや、太田哲也の事故がこのGW時期(もう10年前か)だという事が大きくてたぶんすぐ連想してしまう。また偶然にも、それを想起させるような事故が起こる。
先日のルマンシリーズでのステファン・オルテリのクラッシュや、F1でのコバライネンのクラッシュに肝を冷やす。ドライバーが無事に出てくくるたびに、昨今のレーシングカーの安全性の高さに感謝せずにはおれないが、しかしそろそろルマンプロトのエアボーンクラッシュについては、根本的になんとかしてほしい。怖くて観てられん。まず先日のオルテリのクラッシュを見てみよう。
0:40からの映像のアングルだとよくわかるが、マシン下面にエアを孕んだらふわっと舞うという挙動はこのタイプの車両のもっている基本的な性質であることは、98、99年あたりに頻発していた事故以来変わってはいないんだなということが分かる(当時はGT-ONEクラスだが)。当時の事故を見てみよう。ひとつめは99年のルマン24時間でのメルセデス。ふたつめは98年のロード・アトランタでのポルシェ+α。(※追記:ここで舞ってるポルシェもオルテリやん)
強大なダウンフォース(地面に押し付ける力)をもとに高速走行するレーシングカーが、地面をひとたび離れたら空を飛んでしまうのは避けられない現象ではあるが、これらの車両の“ふわっと舞う”という性質は危険度が尋常じゃない。何が怖いかというと“観客席に飛んでいく可能性”というのにつきる。この99年の事故後、かなりの体制で原因追求や事故研究が行われて対策も行われたはずだけど、やはりこのタイプの車両は飛んだら“ふわっと舞う”んですね。
ラリーでのグループBカーのように、モータースポーツの歴史にはかつても、危険すぎる進化ののちにその命運を絶ち切らざるを得なかったレーシングカーの一群というのがあるが、ちょっと昨今のルマンプロトは危険だなあと思う。素人目で見るに、とりあえずあの薄さ(車体の低さ)は、舞う要因として大きいよなあ。ああ、今の屋根ありのLMP-1クラスなんかの気持ち悪いほどにコクピットが盛り上がってるスタイリングはそういう対策でもあるんだろうなあ。屋根無しルマンプロトは大丈夫なんだろうか。ちょっと注意して見ていきたい。