▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


“NIHON-BASHI”(デグルチーニ/高岡大祐/子供鉅人 欧州ツアー)

07年9月
@ScheldApen(ベルギー アントワープ

人影もほとんどない運河沿いのだだっ広い道をひたすら歩く。荒いレンガ舗装の道なので、走り去る車のロードノイズが少し不気味。横目には赤錆びたコンテナの積まれた港湾施設アンダーグラウンドな場所だと暗くなってから探すのは大変だと思ったので、明るいうちに一度見に行く。見つけたのはやはりなかなかの場所。街の中心からはけっこうな距離だ。1時間強ぐらいだろうか。看板なんて出ていない。木立の影に佇むレンガ造りのバー。その奥には怪しげなテント小屋。楽器の音が漏れ聴こえてくる。

今回、“日本橋”の一行はすでに一ヶ月にわたりベルギー、フランスを中心に連日ライブを行ってきています。幸運なことに、そのラスト2daysを目撃することに。今日のライブは、会場のScheldApenが主催する“FESTIVAAALLLAALLAL”という名のフェスティバルの一プログラムでもあるようで、最初にFC BARGMANNという地元(?)の劇団の芝居をひとつ見る。

そして10時過ぎ、テント小屋で“NIHON-BASHI”のライブが始まりました。バーのほうで待っていたら、最初に受付で対応してくれたお姉さんがわざわざ「あっちでライブ始まるわよ」って教えに来てくれた。ベルジャンは親切です。

テント小屋と言っても、芝と土の地面の上にそのまま仮設してある簡単なもの。テニスコートよりひとまわり小さいぐらいのスペースにステージが対面して設えられている。お客さんも程よく入っていい感じ。一方のステージにはデグルチーニ、もう一方にはMATHIEU HA ET LES SEPTEMBRISTES&高岡大祐が陣取り、数曲ずつ交互に受け渡し。そして真ん中にも小さな舞台が設えられ、そこでは子供鉅人のパフォーマンスが繰り広げられる。それから(お名前が分からないのですが)今ツアーに同行されているウクレレ奏者の方の演奏も花を添える。お客さんはあっち向いたりこっち向いたりしながら、びっくり箱のようなライブを楽しみます。

特に、高く澄んだマチュー・ハーの歌声がキーンと天に昇ったかと思えば、今度はデグルチーニの歌声がフロアを澱む煙幕のごとく吐き出される、そのコントラストが最高。また、ソロダンスを披露した子供鉅人の益山寛司も印象的。踊っているときの表情の幽美さ。まるで江戸時代の幽霊画から抜けて出てきたかのようだった。薄く開いた目蓋から覗く白眼に息が止まる。

終盤には、両ステージ合わさっての演奏にベルジャン達も踊る踊る。そして最後には、ぶっきら兄弟の編成によるちんどんファンク。なんと、あの歌謡の声の歌い手(キョンキョン)も登場。ラストを飾るは蒲田行進曲。そうして、今宵日本橋は、アントワープの夜闇のほうへパレード演奏して去ってゆく後姿を見て終宴となりました。ああ、この“芸能”の匂い。しかもこの歴史ある港町で。観たかったものがここにはありました。やはり旅と芸能はセットがいいですね。明日はブリュッセル。真夜中の運河を眺めつつ宿に戻りて就寝。思えば24時間フル稼働の一日だった。

“NIHON-BASHI”live
 DEGURUTIENI デグルチーニ
 KODOMO KYOJIN 子供鉅人
 DAYSUKE TAKAOKA 高岡大祐
 MATHIEU HA ET LES SEPTEMBRISTES

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