▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


メトロ大學 〜ジプシー音楽を巡る旅 第二夜〜(講師:関口義人)

07年6月
丸太町Club METRO(クラブメトロ)

テーマ『セルビアのジプシー・ブラス』
講師:関口義人(『ジプシー・ミュージックの真実』著者)
ゲスト:中川あゆみNHKハイビジョン特集セルビア 旅する楽団』ディレクター)

ここしばらく、フレイレフ・ジャンボリー、シカラムータ、地中池、ブリキサーカスなど、ライブもいろいろ行っているジプシー系音楽。あ〜本場のモノも観たいなー、と思っていたところにこのイベント! わりとそういう運はいいほうです。仕事切り上げて初メトロへ。地下鉄(京阪)へ降りる階段の途中にあるというヘンなライブハウス。

講義はそこそこに、NHKで放送された『セルビア 旅する楽団』の上映会になりました。セルビア中部のグチャという村で毎年開かれる音楽祭に向けて奮闘する楽団を追ったドキュメンタリーです。ジプシーと聞いてもっと「漂泊の芸能民」みたいなのをイメージしていたのですが、それは勝手な思い込みで、実のところとても現代的。普通に携帯電話使ってたり。もちろんここに映っているのがすべてではないでしょうけど。

彼らは、普段は冠婚葬祭などに呼ばれて演奏することで生計を立てています。でももっと大きなギャランティで演奏するために、グチャの音楽祭に勝負をかけます。音楽祭には、ヨーロッパ全土から数十万の観客と、楽団の未来を握るプロデューサーや評論家が押し寄せます。ここでの評価が今後の生活を決めるといっても過言ではないわけです。親類一族でバンドを組むことが多い彼らには、本当にその演奏が家族の生活を支える糧になります。そのあたりが昔から地続きの芸能民の社会を感じさせて興味深いです。

赤塚不二夫似のおじいちゃんが「あーあ、息子どもからクソミソに怒られちまったよ、ダハハ」とカメラに向かってぼやいてたり、一番若い男の子のメンバーがリーダーから「真面目にしろ!」って怒られてたり、その男の子がギャラの分け前を手にして「デートで使うんだ♪」なんてはしゃいでたり、音楽祭で落選して「くそっ、最初から受賞者なんて決まってやがるんだ」と息巻いていたり。

ナレーションも一切無いなかなかスパルタンなドキュメンタリーですが面白かったです。メンバーが車に乗り合わせて移動している場面などは「旅する楽団」というタイトルを象徴する印象的な時間でした。こういうドキュメンタリーは、なんとかDVD化でもネット配信でもいいので、もっと観られるようにできればいいんですけどね。こういう機会でもないと観られないなんてもったいない。ちなみにディレクターの中川あゆみ氏はとても美人でした。

ジプシー・ミュージックの真実―ロマ・フィールド・レポート

ジプシー・ミュージックの真実―ロマ・フィールド・レポート