アラン・プラテル・バレエ団 『聖母マリアの祈り vsprs』
07年5月
びわ湖ホール
ベルギーのゲントを拠点にするカンパニーです。正式にはLes Ballets C.de la B.(レ・バレエ・セー・ドラ・ベー)と言うらしい。今作は、FIFAワールドカップ2006の公式芸術プログラムとして世界54都市を巡演中なんだとか。ほほう、W杯絡みでそんなプログラムがあるんですね。
また今回、集められたダンサーはそれぞれヨーロッパ、アジア、南米、オセアニアなどを出身に持ち、また経歴もバラエティ豊か。見た目からしてグッと目を引くようなダンサーが揃っています。ソフトモヒカンの小柄な女性(Iona Kewney・英)は中国雑技系の軟体技、そして高い壁を自在に行き来するという超人系パフォーマー。ゴスかわ系の細身な女性(Melanie Lomoff・仏)は触れれば壊れそうな緊張感が漂う踊り。香港映画のスターのような東洋人(Quan Bui Ngoc・ベトナム)と、香港映画の最初の方でやられてしまうチョイ役的風貌の東洋人(Hyo Seung Ye・韓国)も目を引く。黄色いパンツでアフロヘアーのストリート系(Emil Jpsse・ブラジル)、コメディチックなサラリーマン(Ross McCormack・ニュージーランド)、などなど全10名。(+音楽隊も)
海外のビッグカンパニーを観ると、作品内容より何よりも、まず、その舞台上に一目瞭然に立ち現れる多様性(国籍バラバラなダンサー達!)というのに、なんというか血が騒ぐ。子供のころ、雑誌かなにかで、いろんな戦隊ヒーローが一同に集結するという企画をやっていて、えらく興奮したのを覚えているがあれに近い。(分かりづらいですね…)
まあ、本場ヨーロッパという環境が為せる技だとは思うけど、日本でも多国籍のダンサーを集めたカンパニーがあればかなり格好いいだろうなあ。日本のカンパニーだからって日本人だけ、ってのを続けてても島国根性をアピールするだけですし。そういえば、一瞬でチケットが売り切れるという人気ぶりの兵庫県立芸術文化センター管弦楽団が、メンバーを多国籍の奏者で構成するという事をやっていて面白いです。(追記:Noismの研修生に韓国人が入ってます!)
さて、『聖母マリアの祈り vsprs』に戻ります。チラシに痙攣どうのこうのって書いていたので前のほうの席をチョイスしましたが、あまり痙攣的な動きは見えてこなかったかな。また、教養なしのためバロック音楽がどこにあったのか分かりませんでしたが、ロマ(ジプシー)の音が随所に入ってたのにはビンビン反応してしまった。精神病患者の動きなどもモチーフにされているらしかったが、それほど重たいイメージではなく、ちょっとストレンジなおとぎ話とでもいった雰囲気が横溢する見ごたえ十分の舞台でした。