ファイティング・オペラ「ハッスル22」
07年4月
大阪府立体育会館
なにかと言うと新日本プロレスに行きたがる友人を諭して今日はハッスルを観に府立へ。しかも8000円の席という気合の入りようであります。まあハッスル観ずして、今のショーエンターテイメントの世界は語れないでしょう。
さて、まずその8000円の席がやばかった。アリーナの後ろのほうでリングは遠めでしたが、なんと入場ゲート前に設えられたステージのまん前という好立地。これは運がいい。会場のほうもほぼ満員(6021人)。小さな子供連れがすごく多い。ガラ悪いお兄ちゃんも多い。女性は入ってるけどぼちぼちかな(下品なネタ多いもんなあ)。
ケイ・グラントのマイクで冒頭からいきなり、応援ボードコンテスト、プレゼント抽選ボール投げ、観客をリングに上げてのハッスルポーズと、一気に会場は暖まる。もうこのへんから、普通のプロレス興行とは全然発想が違います。
そして本編開始。現在のストーリー展開や対立構図がビジョンで非常に分かりやすく説明される。きちんとストーリーを追っていない私みたいな観客も、これからはじまる「ファイティング・オペラ」にすんなりと感情移入できるわけだ。
そうこうして会場は暗転。鳴り響くボレロにのって現れたのはなんとインリン様(インリン・オブ・ジョイトイ)。いきなりの展開に会場のどよめきがすごい。ゴージャスなビキニ姿で妖艶にリングイン。付き従うTAJIRIは、前回大会でインリン様の洗脳化に置かれたという設定。世界最大のエンターテイメントプロレス団体WWEでもメインをはってきたTAJIRIだけに、圧倒的に魅せてくれる。リング上でひとしきり2人のマイクパフォーマンスののち、インリン様の代名詞「M字ビターン」が披露された。すごいなー、ザッツエンターテイメント。
その後、それぞれに見せ場の設けられた試合が続く。肝心のリング上のプロレスは、やはり高度に身体性を浮かび上がらせるようなものは期待できないが、それ言うのは野暮というものだろう。誰かがマイクで言っていたが、今までのプロレスではなく「ハッスル」という新たなジャンルをつくろうとしているのだ。
あの伝説のヒールレスラー、タイガー・ジェット・シンも見事なまでに役割を全うし観客を興奮の渦に叩き込んだ。客席を蹴散らし会場中を暴れまわったのだ。逃げまどう観客。泣き叫ぶ子供たち。インドの狂虎も、もうおじいちゃんですよ(笑)。でもヒールのオーラが圧倒的ですごい。ちなみにこの試合、リングアナウンスがあのケロちゃんこと田中秀和だった。久々に聞く名調子に酔いしれた。
メインではHG、RGも奮闘。共に大学プロレス同好会出身。特にHGはドロップキックの滞空時が現役レスラーにも勝る美しさ。RGも吉本仕込み?のやられっぷりが魅せる。そして、天龍や川田といった昭和のレスラー(というのは失礼極まりないが・・・)がこのようなスタイルのプロレスでもきっちり仕事をしてみせるのを観るとなんだか感動してしまう。
ハッスルのようなスタイルはもちろん素晴らしいと思うが、その他のプロレスが否定されるのは良くないこと。身体表現としての凄みや奥の深さをきっちりリング上で見せてくれるようなプロレスも一方にあったうえでのハッスルだと思うのだ。川田はまた最近、全日本プロレスのリングにも上がっているというし、天龍もドラゴンゲートなどで活躍している。ハッスルからプロレスに入った観客は、そっちにも行くかなあ。うーん、あまり行かないだろうなあ・・・。
さて、メインの試合の終了後には、エルガーの威風堂々が鳴り響き高田総統(高田延彦)率いるモンスター軍の面々が入場ゲート前のステージ上に勢ぞろい。ここで次回大会へ向けて、マイクパフォーマンスによるやり取りが繰り広げられる。にしても高田の役者ぶりがすごい。普通の舞台俳優にも引けをとらないセリフ回しと声の質だと思う。わざと声を裏返してあえて稚拙さを表現したりなど、なにげに高度なことをやっている。馬鹿みたいに口をあけて見入ってしまった。
最後にはリング上に残ったHGらによるハッスルポーズで〆。経営的にはかなり厳しいらしいハッスルですが(台本上では高田総統がドリームステージエンターテインメントから100億モンスタードルで買収したという設定になっていますが実際に分離独立した・・・のか?)、体験して損はない素晴らしいイベントでした。
●KIDATA・ロー2007、ジャイアント・バボ、“モンスターK”佐藤耕平 vs キンターマン、クロダーマン、ランデルマン○
●アン・ジョー之助 vs 崔領二○
○TAJIRI、赤鬼蜘蛛、青鬼蜘蛛 vs KUSHIDA、\(^o^)/チエ●
○小川 直也、島田二等兵 vs “ハッスルあちち”大谷晋二郎、中村カントク●
●タイガー・ジェット・シン vs 坂田亘○
○“モンスター大将”天龍源一郎 、“モンスターK”川田利明 vs HG、RG●