j.a.m.Dance Theatre『フィカスと虫、フィカスとロコモス、』
Take a chance project 016
07年3月
伊丹アイホール
相原マユコの振付には、複数のダンサーが列をなして歩く、もしくは走る、また、そこで誰かが誰かを追いかける、もしくは列が円環をなして流動してゆく、といったシーンがよく見られます。そこはたいがい薄暗闇で、蟻地獄に吸い込まれた底、晴れ渡る夜空の底、腐海のような森の底、というようにいつもどこか“世界の底”を舞台にしているように感じられます。
今作でも、劇場内に入ると、その床には何か大陸のような淵が形作られていて、マグマがグラグラと煮え立つ噴火口のようなものも口を空けています。ぼろきれのような衣服を着たダンサー達は、その小さな底の世界で、途絶えることのない円環の地獄に身を流されます。
まるでそれは(以下略)・・・と、そのような作品において(←手抜きも甚だしいな・・・)、毎回、美術が床面に非常にこだわりを持って作っている所は見逃せません。板敷きだったり(ダミーピープル)、変な繊維状の素材が敷き詰められていたり(カルロ×カルロ)、もちろん今作もその赤茶けた地面が印象的。ここで、足音が通常の舞台公演とまったく違う音を発するというのは、j.a.m.Dance Theatreの近作の世界観を決定付ける重要な要素だと思う。
さて、それはそれでいいんですが、正直なところ、そろそろスエモトタモツ(※ここの美術のかた)はもういいんではないかと思う。振付と美術が少し寄り添いすぎているように感じる。もっと両者がスリリングに拮抗するような舞台に挑んで欲しい。
振付・構成・演出:
相原マユコ
出演:
久万田はるみ、森井淳、今田葉子、高柳敬靖、椙本雅子(CRUSTACEA)
空間美術・フライヤーオブジェ:
スエモト タモツ
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