BABY-Q『GEEEEEK』
06年11月
HEP HALL
HEP HALLのダンスシリーズ【dance expression】第2弾(と公式には書いてるけど3弾では?)に、戦慄の超絶技巧ダンサー東野祥子率いるBABY-Qが登場。タイトルの「ギーク」という言葉や、音楽で参加の中原昌也など、なかなかにいいポイントを突いてくる。確実に新しいお客さん連れてくるし、なんか見逃せない感がありますもんね。時代感覚というとオーバーかもしれないけど、なにか今のサブカルチャーの一局面に切り込んでいく強度は持っていると思います。
ただ、それが作品全体のディレクションレベルまで到達してないように思う。まず誰しもが東野祥子のダンスそのものに否応無く圧倒されて「すごい…」となるのですが、さて作品としては?と考えると、ん〜イマイチ?。私自身は、デストロイド・ロボットを初めとするあのジャンク&キッチュな世界観があまり面白いとは思えないので、それが大きいと思いますが。。でも「作品」としての存在感は生まれてないように感じる。まあそもそもBABY-Qの魅力は「作品」があって「公演」をするという普通の舞台芸術業界のスタイルではないところで磨かれてきているので、そこの移し変えは容易ではなさそうです。
例えば単純に思うのは、BABY-Qのパフォーマンスは短い時間に凝縮するほうがインパクトあると思う。あまり長時間だらだらやるとダメですね。だから公演としては、20分ほどの短い作品を何本か上演する、とか、もしくはレビューという上演形態を研究して取り入れてみるとか(キュピキュピの『CABAROTICA』みたいなイメージ)。そういう形が合いそう。
以前にBABY-Qについて書いたのを見ても「短編としてきちんと構成した作品も観たい」(大阪ショートプレイフェスティバルでの上演)とか「挟み込まれる雑然としたシーンについてはずばりエンターテイメントショーになってしまっても良いのではないかと思った」(『Alarm!』)など、あながちただの思いつきではなかったなと。(だいたいいつも思いつきを垂れ流してます。)
▼その他
・「世界初演」(ワールドプレミア!)と大きく掲げててかっこいい。
・東野以外のダンサーがすごく良くなっていた。スタジオを自前で持った効果?
・特に『Alarm!』でレスリングタイツで踊っていた男性が、東野イズムを継承するムーヴメントを繰り出していました。すごい。
・log OSAKAで今作について特集組まれてます(dance+ 覗き穴から誘うBaby-Q)
構成・演出・振付:東野祥子
出演:樋口洋子/上月一臣/MINGO/山本泰輔/ケンジル・ビエン/寺西理恵/石井宏/Pee/下条明香/東野祥子
音楽:RAZ MESINAI/中原昌也/他
映像:THE RKP a.k.a. ロカペニス
美術:DESTROYED ROBOT/SUBTERRANEANS/dacchin'
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