維新派『ナツノトビラ』
06年7月
梅田芸術劇場 メインホール
中南米ツアーで初演した作品の凱旋です。しかも梅田芸術劇場という大阪で最もメジャーな商業劇場での公演。もちろん野外や辺境の地での公演が圧倒的に“らしい”維新派ですが、屋内もわりと好き。いい鑑賞空間で、そのパフォーマンスを堪能できます。
さて今作。モノクロームで余計な装飾を廃した舞台空間は『流星』('00)を思い出させます。ストーリーはいつもながら興味ないので分かりません。ただ、テレビを見る少女のシーンでは、サッカーW杯の実況や、ブラックマヨネーズ(たぶん)の漫才の音声を流すなど、そういう身近な題材を取り入れるところは新鮮な感じでした。
でもまあ、やはりパフォーマンスに釘付け。なんかやたら振り付けが細かくなっていたような・・。維新派ってこんなに細かい振り付けしてたっけ?って感じでした。それぞれの動きの精度も高いし、しかもそれが群舞でバッチシ。ものすごい練習量をこなしたんだろうと思います。演劇だったり何だったり、いろんな要素を含んだ総合芸術集団である維新派ですが、ずばり身体表現の部分で突出した成果は感じます。
さてそんな感じで、ストイックにシンプルな今作。後半はほぼ自分のまぶたの裏を鑑賞していたわけではあるのですが・・・。と突然、カーテンコールで始まったのが、これぞ「ヂャンヂャン☆オペラ」な圧巻のパフォーマンス(『少年街』('91)より)。一気に目が覚める。いやあ興奮しました。やっぱこういう、単純に「すげーーー」ってのも必要ですよ。最後にこれあってまじで良かった。
そしてこの回は、さらにダメ押し、松本雄吉トークショーも。これがまたとても面白かった。アナウンスが「トークショー」と言うものだから、いやただの「ポストトーク」だろうに「ショー」はないだろう、と思ったのですがまさしく「ショー」でした。ひとり松本雄吉が出てきて30分間しゃべる。以下、うろ覚えですが箇条書き。
・家の近くの公園に勝手にひまわりをたくさん植えて育ててる
・ホームレスのおしっこで端っこのやつは育ちがいい
・やっぱみんなああいうの(最後のやつ)好きなんやね
・ああいうの大変なんよ。仲悪い役者は隣同士にできひんとか・・
・客(指名で元じゃむちの記者の方)「シンプル化はわかるけど昔の方も・・」⇒すみません
・客「後半ぐらいから眠たくなった」⇒みんなそうやと思います、私も(笑)
・客「クワガタのかぶりものやセミのオブジェは?」⇒あれはやめにしました
・メキシコにはセミがいないらしく、客からあれはなんだ?って(笑)
・客「建物の上にたつのは?」⇒あれもやめました。今回美術をたくさん動かすようにしたので
・詐偽ですねぇ。
・東学の趣味で作ったパンフ。2割ぐらい維新派のことも書いてます
・客「東京公演の予定は?」⇒東京は2度とやりません。しんどいねん(笑)
・平城京跡でやりたいなあと。宮内庁の持ち物やろうけど・・まあでも空いてるし
・(生まれ故郷の)天草で、という依頼はあります
・遠いんでね。田舎のじいちゃんばあちゃん相手の芝居つくらんと