▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


ネザーランド・ダンス・シアター I 『トス・オブ・ア・ダイス』他

cannon262006-06-25

06年6月
びわ湖ホール 大ホール

『TOSS OF A DICE』(トス・オブ・ア・ダイス)
[振付]イリ・キリアン [音楽]ディルク・ハウブリッヒ [美術]イリ・キリアン [彫刻]新宮 晋 [初演]2005年
『SIGNING OFF』(サイニング・オフ)
[振付]ポール・ライトフット/ソル・レオン [音楽]フィリップ・グラス《バイオリンとオーケストラのためのコンチェルトより》[初演]2003年
『WALKING MAD』(ウォーキング・マッド)
[振付]ヨハン・インガー [音楽]モーリス・ラヴェルボレロより》、アルボ・ペルト《アリーナのためにより》[初演]2001年

世界のトップ中のトップカンパニー、ネザーランドダンスシアター。来日は4年ぶり。観に行ったことあるような気がしてたけど、よくよく調べたら初NDTだった。今回はNDTⅠの来日。NDTはⅠ、Ⅱ、Ⅲとあってそれぞれ年齢ごとに区分けされている。Ⅰは油の乗り切ったダンサーが揃うメインカンパニーだ。

まずはイリ・キリアン振付けによる『トス・オブ・ア・ダイス』。新宮晋によるオブジェが作品の核を成す重要なポジションで出てくる。これが最っ強にスリリング。何本ものクリスタルな切っ先がゆっくりと空間を漂う。鋭利な海月(くらげ)とでも言おうか。こいつがシューティングゲームのラスボスみたいに現れては消え現れては消えする。私の例えが適切なのかどうかはさておき、本当にすごく張り詰めた舞台空間になっていた。その中で、さまざまにダンスが展開する。音楽は終始静かな水が滴る音(だったかな?)。ラストはその鋭利な海月の毒に皆やられてしまいTheEND暗転。キリアンの才気がクールに漲る一品でした。大満足。

次は『サイニング・オフ』。ポール・ライトフットとソル・レオンのふたりによる振り付け。う〜んあんまり印象に残っていない・・。前後をあんなのに挟まれたら厳しいかなあ。

そして、『ウォーキング・マッド』。現在はクルベリー・バレエの芸術監督を務めるヨハン・インガーの振付作品。これがまた、NDTらしからぬゴキゲンな作品で面白い。舞台上には大きな木塀。塀の向こうとこちらを、とんがり帽子をかぶったダンサー達が目まぐるしく追いかけっこ。スラップスティックです。塀に設えられたドアもうまく使って、笑いをとる。客のリアクションがドリフみたいになっていました。これが「ボレロ」にのって行われるので、またバカバカしさ倍増です。でも作品の背骨には、ちょっとしんみり系の男と女の物語。ラストシーンは塀の上から向こう側へふわっと飛び降りて消えてしまう男と、こちら側で佇む女、暗転。うまいね。