▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


トーク&パフォーマンスイベント「呪術対美術」

cannon262006-06-03

06年6月
大阪造形センター

モデレーター:樋口ヒロユキ(ライター)
トークショー
 榎忠(美術作家)
 清水真理(球体関節人形作家)
 やなぎみわ(美術作家)
身体改造パフォーマンス
 BONZIN(身体改造パフォーマー・デザイナー)、ageha(モデル)、megamatsu(VJ)、

「呪術対美術」って、かなりそそられますね。目当ては清水真理。人形はけっこう好きなのです。

榎忠は間に合わずだったので、清水真理から見る。いっぱいであやうく入れないところでした。OZCはこれが初めて。えらくディープなところです。初期の維新派がここでパフォーマンスをしていた、ぐらいの知識はあったのですが、なるほどのアングラ臭。なにより客層がすごいな。ゴス、木村カエラ、ジャパニーズホラー、みたいな方々がたくさん。お化け&お人形さんな人々。まあ「呪術」を冠するイベントですしね。(※そうか木村カエラはそういうことか!)

ちなみに今回の「呪術」ってのは、一義的には「フェティッシュ・アート(呪物的美術)」というジャンルを指すようです。だから「呪術」と聞いて個人的に期待した、民俗学ど真ん中の視点は特になし。フェティッシュ・アートに限らず、芸術・芸能のたぐいはもとを辿れば古代の呪術的なるものに行きつくわけで、もっとそういう広い視野での「呪術対美術」も見てみたいところ。

さて、清水真理。創作人形作家という職業について、作家論作品論、などなど。特に人形というジャンル内における境界バナシは興味深い。工芸と美術の境界もあれば、さらに今、オタクカルチャー方面からすごい勢いで侵食してきている、という話。主催している人形教室に、萌え系モチベーションの男性生徒が増えているらしい。また作品・作家について、あのグロテスクで怖ろしい作品には、やはり清水自身の生い立ちに秘密があるとのこと。相当ヘヴィーな話のようで、具体的には触れられず。気になるなあ。ちなみに出身は天草だそうだ。

…天草で思い出した。私が今までで最も衝撃を受けた人形(ヒトガタ)は、長崎は島原半島、北有馬で見た石のマリア観音。けっこう大きな石像なのですが、一瞬は抽象彫刻みたいで何かよく分からない。でも、よく見るとうっすら子供を腕に抱くマリアになっている。かくれキリシタンの悲劇がそのまま形象化したみたいな一品です。

やなぎみわ。こちらも、美術作家という職業について、海外と日本での違いなどなど。椹木野衣の「日本=悪所」論なども出てきつつ。作品論としては、マイグランドマザーやグランドドーターのシリーズを経て、今「フェアリーテール」という寓話をモチーフとした、こわい作品を手がけている事について。でもあれですね。いくらグロテスクで怖ろしい作品でも、きっちり幾ばくかのファンタジー成分がまぶされている。そこが人気作家たる所以だよな、と思いました。


身体改造パフォーマンスは別途。