▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


山海塾『金柑少年 2005』

2005年10月
びわ湖ホール 中ホール

1978年初演で山海塾としての2作目の作品『金柑少年』。その後も15年の永きにわたり踊られた山海塾初期の代表作です。近年はもう封印してしまっていたらしいが、各国から「観たい」との要望もあったそうで、このたび2005年バージョンとして再演。作品の中心を成していた天児の各ソロパートを、それぞれ若手舞踏手に割り振って再構成したものとのこと。

やはり、78年の作ということで、近年の作風とはけっこう違う。少々アングラ臭が漂ってます。大駱駝艦の壺中天を観るような感じ。舞台上は奥とサイド全面に、無数(千数百!)の鮪の尾びれが打ち付けられた壁がそびえる。グロい。今回はフェイクで作られてた(たぶん)と思うけど、初演時などは本物の鮪の尾びれでやってたそうだ。そうした、近年の静謐、崇高な作風とは違う、若かりし山海塾が垣間見えて面白かった。

特に印象的だったのはやっぱり孔雀。途中、孔雀を抱きかかえた舞踏手が登場し、ひとしきり踊ったあと、そのまま舞台上に放ってしまう。作品の後半はほとんど、孔雀がずっと舞台上で野放し状態。作品が進行してゆく中でも、孔雀は勝手に舞台上をウロウロしたり、脱糞したりしてる。でも意外と役者?だったのか、あれって勝手に袖に引っ込んだり、客席に降りたりしないんですね。一応ちゃんと舞台上に居続けたのはご立派。ポストトークで天児氏も言っていたけど、作品が続く舞台上で、それにまったく関係なく動く存在がいて、そこに舞踏手との間での緊張関係、またはチャンスオペレーション的な事態が生まれる。観ていても、とても面白かった。さらに天児氏は、舞踏手の孔雀に対する「嫉妬」と言っていた。「嫉妬」か〜、素敵だ。

ラストシーンでは舞台中央奥で逆さ吊りの舞踏手。これは鮮烈。山海塾ここにあり!って感じです。かっこいい。そして、かっこいいといえば、カーテンコールの時の礼も忘れてはならない。独特の姿勢で礼をするんですが、これがまたかっこよすぎ。ただ、礼をするという動作だけですら、確固たる一級の身体芸術。参りました。