▼このブログについて(更新停止中)
2004〜2009年夏頃までの関西のコンテンポラリーダンス公演をメインとした目撃録です。その時期に関西であったコンテンポラリーダンス公演の8割方は観てると思います。その他、民俗芸能、ストリップ、和太鼓、プロレスなども。2000年の維新派『流星』から見始めて、多い年は年間270本。2007年は、エジンバラフェスティバル、ダンスアンブレラなど半年に渡る欧州漫遊の記。2010年以降もぼちぼち劇場には出かけていますが、更新する時間はなくなり現在放置中のブログです。


安乗人形芝居(安乗文楽)

2005年9月
安乗神社(三重県志摩市阿児町

場所的には“志摩スペイン村”や“合歓の郷”などがある…ところからさらに志摩半島の先っぽへ。近鉄電車に乗り、鳥羽を越え、終点の賢島の手前、鵜方駅というところで降りる。そこからバスで30分弱。バス停からさらに徒歩15分ほど。珍しい四角い灯台が立つ安乗(あのり)崎。そこにある小さな神社の境内に人形芝居の舞台がある。

もとは、あの九鬼水軍で有名な九鬼嘉隆が“文禄の役朝鮮出兵)”に出陣する際、安乗の八幡宮(現・安乗神社)に祈願して武功を立てたことから、後にお礼参りに訪れて村民人形芝居の上演を許したのが発祥らしい。大阪・江戸間航路において風待ち港として栄えたという土地なので、海を通じて兵庫・大阪から文楽芝居が入ってきたのだろう。現在は国指定重要無形文化財として、毎年9月15・16日に奉納上演されている。

上演は午後6時半より。人はぞくぞくと集まる。お年寄りが多いが、小さな子供連れも多い。あとは中学生の姿が目に付く。地元の方々ばかりで、観光客的な人はあまりいなさそう(テレビの取材は入っていた)。露店も少しながら出ていて、いかにも地域のお祭りという感じ。いいよな〜、こういう、観光資産(ショー)化しすぎていない民俗芸能のライブの場。万博行って世界の民族舞踊のステージを観ようかと少し思ったけど、やっぱりこっちで良かった。

人形を操るのは、地元中学生が中心になって活動しているらしい保存会の面々。いくつか演目はあった中で、ラストの演目では浄瑠璃も中学生ぐらいの男の子が語っていて(それまでは録音モノだったけど)、これがまたすごく面白かった。自分がこれまで抱いていた文楽浄瑠璃)のイメージとはまったく違うものでした。やけにアグレッシブというか、奔放にジョールリってました。そのへんも含め、「漁師町の気質そのままに、荒削りながらも、豪壮さと人情味豊かな表現に満ちた文楽」(参考link)として芸術的にも高く評価されているそうです。

文楽の合い間には、小さな女の子による“よさこいソーラン音頭”ステージや大衆演劇?っぽい舞踊劇などもあり。舞台に積もるぐらいに、おひねりが乱れ飛ぶなど、こちらも刺激的でした。すべての演目が終わってからはカラオケ大会になったけど、こちらは特に盛り上がらず、そのままわらわらと散会と相成りました。

で、私はといえば、帰りの足がない。バスはとっくに7時台で終わりやし。タクシー会社はなぜか電話出んし。もしかして野宿??―――結局1時間ぐらい、タクシー会社に電話し続けてやっと繋がる。タクシー乗ったはいいものの、宿代も含めてお金を下ろさないとダメなことに気付く。タクシーでコンビニATM探し回る。たくさんあるサークルKはATM置いてないし。おいおい、野宿再び??―――なんとかファミマでお金下ろす。そしてタクシー代にガツンとやられる。でも、運転手さんいい人で少しまけてもらえた。ありがとう。で、なんとか、鵜方駅前のビジホに滑り込む。近くのガストで飯食って寝た。