イデビアン・クルー『関係者デラックス』
2004年12月
パークタワーホール(新宿)
イデビアン・クルーは2001年7月にびわ湖ホールで『コッペリア』を観て以来、今回で2回目。その間、関西での公演は無かったので今回待望の、待望の…?、いやいやチケットより断然高い交通費を捻出して東京まで観に行ってんねんから「待望」じゃないわな。だいたいその間、東京では何回も公演してるわけで。来ないなら行くがな、という感じ。
本拠でもあるし、ある程度マーケットの確立されてる東京がメインになるのは仕方がない部分もあるけど、あまりにも東京以外が無関係者扱いされてるのではないかと思う。特にイデビアン・クルーは日本のコンテンポラリーダンスの中においては超超重要カンパニーのひとつであるわけで、新作を作っておいて東京だけというのでは、許されないポジションにあるのでは?最近は主宰井出茂太のカンパニー外での仕事が多忙で、という理由もあるんでしょうけど。
という事でとりあえず関西には来て…、と書くとじゃあその他の地方都市はどうする?、という事にもなるので難しいですが、実際問題コンテンポラリーダンスの観客マーケットと言えるものが存在するのは日本では関東都市部、関西都市部に限られると言って差し支えないでしょう。と市場主義的なもの言いをすると、これまた話が込み入るのでナンですが、もちろんマーケットの弱い地方都市はやる必要は無いという話では全然なくて…、とどのつまりイデビアン・クルーこそ全国ツアーとかやってがんがん踊るべきカンパニーのナンバー1でしょう!という話。初めてコンテンポラリーダンスを観るような一般客たくさん入れてね。関係者ばっかで埋まるような客席でやってるだけではダメですよ。
『関係者デラックス』。劇場に入ると、全ての座席に「関係者席」と書かれた紙切れ。ちなみに、上につらつら書いた事と作品とは特には関係ないですので。作品は家族や街角など日常生活のなかでの人々のコミュニケーションの風景が描かれていました。
>>以下、10/8に追記
イデビアン・クルーのダンスについて。「うぅぅ、すげえな…」とか思って観てた。井出茂太はその他多くの振付家とは次元が違うとこにいるなと感じた。他にもオリジナリティあるなと思える動きを生み出す振付家はいると思うけど、でもあくまでコンテンポラリーダンスというジャンルの中にはきちんと納まりどころのある動き。
でも井出茂太の振付は、プチッとはみ出てしまってる。新しいダンスジャンルとして、コンテンポラリーダンスなんて枠組から、ひとり立ちさせてもいいんではないかと思うくらい。重要無形文化財じゃないけど、あのダンスはきちんと後世まで継承されるようにしときたい。
で、ひとりひとりのダンサーに振付けられた動きだけじゃなく、さらにすごいのは群舞の構成。群舞といっても全員が同一の振りで合わせるわけじゃなく、めまぐるしくあっちに行きこっちに行きしていくのだが(説明になってないけど)、それが観ててとても面白い。なんか、ずーっと観てたくなります。