Noism04『black ice』
2004年11月
びわこホール 中ホール
Noism04は新潟にある公立劇場の専属ダンスカンパニー。こういう形態で運営(経営)されるコンテンポラリーのカンパニーというのは日本では初で、そうした面でも要注目。
芸術監督の金森穣はヨーロッパでベジャールやキリアンに学んできた人。トップランナー(NHK)に出演した時に、映像でその作品というか金森の踊りをちらっと見たけど、そのダンスのファンタスティックさ加減が映像でもきちんと伝わってくる振付だった。映像媒体にしても通用するコンテンポラリーの踊り(しかもソロで)ってなかなか少ないもんですから。詳しくは忘れましたが、金森の作品ビデオを見ての、武田真治の言った感想が印象的でした(ビデオ録ってるので、あとで調べときます)。
『black ice』は「black wind」「black ice」「black garden」という3つに分かれた三部作。第一部の「black wind」は自分が睡魔と闘うので精一杯であまり作品に集中できませんで、終わるところなんか完全に寝ていました。客電が点いて起床するようなありさまであぁ無念。まあでも、それほど良くなかった。良かったのは第2部「black ice」。欧州育ちのスマートさを見せつけられたような作品でした。高嶺格による美術・映像も印象的。
うって変わって「black garden」は、おとぎ話の世界のようなゴテゴテした美術で、照明も暗くて、ダンスも踊ってるのか何してるのかよくわからん感じで、ただ最初に女の子の独り言的な叫びがあって(テーマが女の子の「記憶」とアフタートークで言っていた)、その声質がばっちし決まっていて、そのせいでそのあとの展開にも惹きこまれた。具体的にいうと、「あぁ宮崎駿や…」と思った。
で、なんといっても一番良かったのは最後の金森のソロ。オリジナリティのある動きじゃないと思うけど、最後、光に押しつぶされて終わるといった演出力とあいまって、とても見ごたえのあるダンスだった。
他のダンサーの踊りもみんなハイレベルですけど、個人的にはあんまし好きな部類の動きじゃない。金森の振付のカラーなのか、でもアフタートークでは、金森は振付についてあまりあれこれ言わないと言っていたし…、そのわりには個々のダンサーの魅力が全然伝わらないし。「あれこれ振付家が指示を出して、ダンサーがその枠に収まってしまうのは嫌」というような事を言っていたけど、それはそれで「枠」になりうるから厄介なもんです。オーディションで選んだダンサーらしいけど、その選考方法も良かったのかどうか。金森の趣味が見えてくるメンバーだなあと思いましたー。
金森の才気はサパサパほとばしっていて、これからも観ると思うけど、カンパニーとしての魅力はそれほど感じられなかったです、今の時点では。